京都一周トレイル・西山コース・その1
嵯峨・嵐山を行く
■標高:276m
■歩行時間:4時間40分
■登山日:2015年4月25日

    京都一周トレイルの中でも、西山コースはとりわけに短い。概要を説明しておくと、清滝から一山越えて奥嵯峨・嵐山と進み、松尾山を越えて阪急上桂駅でフィニッシュとなる。全線随一の観光コースだが、歩行距離はわずかに12卍度しかない。京都市内で市販されている公式コースガイドも、他コースに比べて一回りサイズが小さく、販売価格も200円安い(西山コースは300円、それ以外は500円)。淡々と歩けば4時間程度のコースだろうが、途中の観光も込みのコース設定だと思われる。



 北山コース終了後、時間が余ったのでそのまま歩行を続けることにした。次回、清滝から西山コースを歩きはじめることを考える場合、清滝自体が来にくいところとまでは言わないが、京都の中心部から少し時間のかかる場所と言うことも否定できない。四条河原町や三条京阪から直通のバスもあるのだけれど、1時間ほどはかかる。今日のゴール地点は阪急嵐山駅まで伸ばす。有名な渡月橋を渡って少しのところにあるこの駅は、実質的に京都一周トレイルのコース上に取り込まれている。もっとも、後になって確認したところでは、阪急嵐山駅が存在するのはスタートから7劼曚匹涼賄澄ただでさえ短い西山コースの後半戦は、わずかに5劼離轡隋璽肇魁璽垢箸覆辰討靴泙Δ里世、京都のねぐらに近い四条河原町駅から電車でやって来て歩行を再開できるのは魅力だった。

 少しの休憩をはさみ、13:44に西山コースの1指導標を通過。東山コースと北山コースの接続もそうだったような気がするが、北山コースの最終指導標との間は若干距離が空いていた。清滝周辺は多少なりとも民家が存在していたものの、間もなくそういったものも姿を消す。雰囲気は高尾から清滝までのそれと大差のない、渓流沿いの道が始まる。この区間それ自体は違うのだが、保津峡につながる渓谷地帯である。落合付近で清滝川は保津川と合流する。この保津川を遡行して行くとやがて亀岡に至る。深い谷なので、気楽に歩けるハイキングコースなどではないだろう。一方、下流域となるのが桂川だ。保津川沿いに歩いて行くと、この川が桂川と名を変える嵐山にたどり着くこともできるらしい。

 桂川は、今日の前半で渡って来た鴨川と伏見区で合流し、淀川と名を変えて大阪湾に注ぐ。とりあえず、京都一周トレイルは、清滝川と保津川の合流点付近でいったん川から離れ、峠越えの道となって行く。今日最後の難関となるであろう、六丁峠に至る坂道だ。自動車の通る道なので、くねくねとうねる。余分に歩かされている感は強い。とぼとぼと歩いていると、うんざりするほど上方の山の斜面にガードレールが見えたので、あそこまで歩くのかと気持ちが萎えかけたが、実際にはこのガードレールは嵐山高雄パークウェイのもので、六丁峠は山のトップよりはかなり低いところを通っていた。

 14:37、鳥居本に到着。一般には「化野」の地名の方が通りが良いか。愛宕神社の門前町として、旧時代の面影を残す地域だ。峠のこちら側はなだらかに下る長い坂道が続く。清滝側を目指して登る場合であっても、気楽に感じられるのかもしれない。そして、そんな坂の途中に化野念仏寺はあった。長らく訪ねてみたかったのだけれど、場所の辺鄙さもあって、今日この日までその機会に恵まれなかった場所だ。もちろん、立ち寄って行く。

 古来化野は、風葬の地として知られてきた。念仏寺と言えば、夥しい数の石仏で有名だが、これらも元々はこの地域一帯に散在していた野仏の群れを集めたものだ。京都でも独特の景観を形成する石仏群は、京都オカルトを語る上では外せない光景となっている感があるが、実際に訪ねてみると、想像していたより開放的な空間である。イメージの中では、薄暗いような林の中に多くの仏が並んでいたのだけれど、西院の河原と呼ばれる、境内でも中心的な区画に立ち並ぶ石仏たちは、燦々と照り輝く陽光の中に佇んでいる。後になって調べたところでは、わりと近くにある愛宕(おたぎ)念仏寺の千二百羅漢のイメージと混同しているのかもしれないと思った。ちなみに念仏寺に集められた石仏は、長い年月の間に著しく風化の進んだものが大半で、いわゆる仏像の姿をありありと認めるのは難しいが、それだけにこの地で営々と営まれてきた葬送の歴史の長さが、真に迫るようでもある。

 そんな化野も、現在ではすっかり観光地化が進んでおり、道を行くほとんどの人のいでたちは、ハイカーではなく、観光客のそれである。そんな中でも京都一周トレイルあるいは東海自然歩道の指導標が道すがらに立っており、何でもない街路にしか見えないものが、確かにハイキングコースと呼べるものの一部に位置付けられていることを思い出させてくれる。もっとも、それを利用するのは大半が付近の有名観光地を目指そうとする観光客のようだったのも事実なのだが。

 時計は15時を回った。西山コースを歩く時が来たら、念仏寺と並んで立ち寄りたいと思っていた場所があった。祇王寺である。しかし、さすがに二十数キロを歩いてきて疲労も色濃い。順調に行けば(?)、明日は嵐山界隈を再訪することになると思う。今日は、ゴールすることを最優先に、寄り道もそこそこに先を目指す。祇王寺のみならず、二尊院、落柿舎、常寂光院など、この地域を象徴する有名な観光地をつないでコースは続く。そして、トロッコ嵐山駅を通過して竹林の小路をやり過ごす。と言うことは、天龍寺の裏手を歩いているということか。本当に、周辺観光を織り込んで1日ペースになりそうな西山コースである。実際、愛宕念仏寺を起点にして、東海自然歩道沿いをそれとは知らずに歩く観光客も多いようだ。

 そんな東海自然歩道は嵐山公園の中を延びている。皮肉なことに、この公園の中の方が道が分かりにくいほどなのだが、高台を登り切り、川の方に下ると渡月橋が見えてきた。ここはもう、紛れもなく嵐山。京都でも有数の観光エリア。道は夥しい数の人であふれ、川を見ても川遊びのボートでいっぱいだ。もはや、山歩きの風潮など微塵もない。ゴール地点である阪急嵐山駅は桂川の右岸にあるため、渡月橋を渡らなければならない。さほど広くもない歩道の流れは、人の多さに停滞気味だ。フィニッシュを目前にしてのこの停滞は、もどかしい限りだ。

 15:55、阪急嵐山駅に到着。鞍馬からここまで、26.4劼鯤發い燭海箸砲覆襦まだもう少し歩けなくもないのかもしれない。そういう意味では北山西部コースと西山コースを一気に制覇するのは不可能ではなさそうだが、さすがに疲れた。西山の後半戦の歩行距離は5.2辧あまりにも短いため、苔寺や鈴虫寺に立ち寄りながら、祇園祭や青春18きっぷ旅の時期に絡めて歩くと言うのは考えられる。ただし、苔寺の方は完全予約制で、軽い気持ちで観光するには非常に敷居が高い。まあ、山行のついでにと言うのは、事実上不可能であろう。
スタートからしばし、渓谷美は続く。

我慢の車道歩きで六丁峠を越え、鳥居本へ。

化野念仏寺。

トレイルから分かれ、天龍寺に通じる竹林の道。

歩くには暑い陽気だが、舟遊びは気持ちよさそうだ。

嵐山の象徴、渡月橋。

阪急嵐山駅。今日のゴール。

 
アクセス 京都市内主要駅より京都バス「清滝」下車。
ガイド本 京都一周トレイルコース公式ガイドマップ西山 京都一周トレイル会
関連サイト

京都一周トレイル・北山コース西部へ戻る   その2へ進む



▲山これへ戻る