大山・その2
山陰の秀峰に登る
■標高:1729m
■歩行時間:3時間40分
■登山日:2014年10月11日




 9:46、標高1500mと書かれた指導票の前を通過。七合目と八合目の間に当たり、ついに道は吹きっさらしの斜面に出た。一応道がつけられているのは風下にあたるらしく、強風からもろにあおられる状態ではないが、斜面をまくようにして進んでいくと、ついに風の影響をまともに受けるポイントに差し掛かった。ごく短いものだが、木橋がかけられており、下山途中のおばさんが頼りない足取りでこちらへ向かってくる。風にあおられるらしく、道の片側にだけ張られたロープを握りしめ、10メートルにも満たない距離を進むのに、1分ほどはかかっていたように思う。どうにかこうにかおばさんが渡り終えるまでの間に、登る側はちょっとした渋滞を起こしていた。まだ下山者は少ないため、即座に攻守交代。三人連れの中年パーティーが橋を渡り始めたのに、私も引き続く。なるほど、風はかなり強く、かなりあおられる感じがある。風速は15mほどだろうか。20mには届かないような気もするが、横風なのが厄介だ。剣呑な場所である。速やかに突破するに如くはない。

 そう思っていると、三人組の一番後ろのおじさんが、唐突に耐風姿勢を取った。確かに風は強いが、どう考えてもそれほどの烈風ではない。先ほどのおばさんがそうしていたように、ガイドロープであっても何かにつかまっていないと体勢を崩しそうにはなるが、完全にバランスを崩すよりも早く、さっさと物陰に走り抜けてしまった方が安全だ。そう思うのだけれど、おじさんは橋の上に這いつくばっている。後についている私はたまったものではない。身を隠すものもないまま、強風の中で足止めを食らう。パーティーのほかの二人は、最後尾を歩く仲間の様子を意にも介さず先に進んでいる。このちぐはぐなパーティーの後ろについて行くのはやばい気がする。夏山登山道の八合目から先は、森林限界を超えており、ハイマツが生えるのみの高原状の平地の上に、植生保護のための狭い木道がかけられている。最前の木橋ほどの強風に吹かれることはないのだけれど、必要以上にのそのそと歩いているようにさえ思える三人組は、決して道を譲ってはくれない。マイペースも度が過ぎると考えものである。

 七合目を過ぎて大ブレーキがかかり、10:12に弥山の山頂に到着。一時間半コースを想定していたので、おおよそはその通りだったと言えるのかもしれない。視界を遮るものはほぼない、絶景の山頂である。南東に焼きそばで知名度を上げた蒜山を望む。今日の朝飯は焼き鯖だったが、焼いたそばだよ。北に米子の町並みや、その名の通りに弓なりの海岸線を描く弓ヶ浜を見下ろす。実を言えばその向こうの隠岐の眺めも期待していたのだけれど、これは海の上に雲が出ていたために見渡すことができなかった。そして、剣ヶ峰へと続く稜線。その山並みの険しさは、この間の西穂独標から眺めた奥穂への稜線とどっこいどっこいだが、あれが固い岩の道だったのに対し、大山のこの道は、砂地のような、見るからに頼りないものだ。そんなところでも明らかに踏み跡がつけられているのだから呆れてしまう。

 それにしても、風を遮るものがない山頂だから、落ち着かないことこの上ない。加えて、今日はこれから下山した後、鈍行で京都を目指すことになる。万が一、12時半に大山寺を出るバスを逃してしまうと、すべての計画が瓦解することになるため、慌ただしいことだが早々に下山を開始することにした。予想外に多い登山者数に、渋滞を警戒したというのもあった。そしてその予感は的中し、登って来る者もまだ多く、ぼちぼち下り始める者も出始める時間帯に差し掛かったことから、来た道をほぼそのまま引き返すだけの下山路だったのに、一時間半以上の時間をかけて大山寺下のバス停まで下山した。なお、下山路に関しては、最後の最後で「僧兵コース」と銘打たれた、渡渉のあるコースをチョイスし、大山寺の本堂脇に出る道を踏んだが、登り以上の時間を要したのは、もっぱら渋滞のためだったと言って良い。

 バスには、間に合った。しかし、そうまでして米子駅までの戻りを急いだにもかかわらず、結局のところ当初想定していた列車に乗ることはできなかった。バスが途中で渋滞につかまったこと、京都着を早めるつもりで米子駅の窓口で鳥取から上郡までの特急乗車券を買おうとしたところ、予想外に手間取り、乗るつもりの列車がホームを出るところを見送ることになってしまったのである。京都までの移動は、智頭急行区間を除けば秋の乗り放題パスによるつもりでいたのだけれど、予定の鳥取行普通を逃してしまうと、鳥取まで行くのにも特急を利用しなければならなくなり、予想外の痛い追加出費を強いられることになった。
木々は次第に姿を消していった。

高度のわりに険しげな山腹の様子。

一方、登山道自体は比較的なだらかな斜面に進んで行く。

そして山頂へ。

立入禁止の稜線、通称「らくだの背」。

大展望はさすがのものがある。

帰りがけに大山寺へお参り。

 
アクセス JR米子駅より大山るーぷバス「大山寺」下車。夏山シーズン中の土日運行。ただし、多客期は毎日運行。
ガイド本 改訂新版 関西周辺の山
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