京都一周トレイル・東山コース・その2
東山三十六峰を辿る
■標高:848.3m
■歩行時間:9時間
■登山日:2014年6月7日




 伏見稲荷の裏山と言う性格の強かった領域を外れ、東福寺方面に向かって進んでいく。もちろんこの先も、東山三十六峰と呼ばれる峰々をたどっていくので、東福寺そのものに下っていくわけではない。それにしても意外や急勾配の坂が続く。10分ほどの下りを経て、住宅地に出た。政令指定都市の外縁であるため、山の中とは言っても住宅があってなんら不思議ではないのだが、京都の街中から見てどの程度の比高があるのかは何とも判断がつきかねる。そこからさらに少しで、昔の皇族の墓が並ぶ宮内庁管理地に差し掛かる。親王・内親王の墳墓ばかりのようで、葬られているのは聞いたことのない人ばかりだ。地図によれば、ちょっと奥まったところには孝明天皇の墓もあるようだ。が、自由に出入りできるような場所ではない。特に立ち寄るようなことはせず、その先の泉湧寺に進む。この近辺には、コースのわかりにくいところがあるようで、近くで掃除をしていたおじさんが、見るからにハイカーらしい風体の私を見つけて、親切にも道順を教えてくれた。付近は、昔から都人の葬送と深く結びついた地だったようで、トレイルのコースから外れるようにして鳥戸野陵への参道が分岐している。

 その先も、住宅地内の生活道路区間と、里山の中の山道とが交互に繰り返される。東海自然歩道の愛知県内平野部コースみたいな雰囲気はあるが、さすがにこちらの方が宅地化が顕著だ。豊臣秀吉の葬られた豊国廟がある阿弥陀が峰を巻くようにして、9時半には国道1号に出合う。コースマップ、および近在の指導票に取り付けられている地図によれば、国道の下をくぐることだけは間違いなさそうなのだけれど、微妙に道がわかりづらい。順路を探しながら進むうち、結局東山五条の交差点まで下ってしまった。大谷本廟所の入り口に面し、清水寺や茶碗坂に続く五条坂の始まる交差点である。坂を上らずまっすぐ北上すれば祇園や八坂神社に行き着いてしまう。明らかに下りすぎだ。

 仕方なく、どこかしらのポイントで強引にトレイルのコースに合流することを狙って、大谷本廟脇の道を上って行く。やがて墓地の片隅を突っ切る道になり、そこも行き過ぎるとそのまま清水寺の境内に誘導されそうになったが、さすがに清水寺から京都一周トレイルへ直接に接続するとは思えない。何とか、境内の片隅へ片隅へ進むように音羽坂を下っていくと、清閑寺への道が現れたのでそちらに進路をとる。果たして、そこから少しで17の指導票と出会うことができた。このあたりの経緯は、ガイドマップやその他の地図を見ながらものしているのだけれど、それでも実際自分がどういうコースを歩いていたのかがはっきりしない。

 とまれ、17からしばらくの間続く道は、清水寺の裏山に広がる高台寺山国有林の中を伸びている。ようやく山道らしい山道となる。先ほど清水寺の表玄関付近を彷徨した時に、いかにも京都の観光地らしい喧騒があったのと対照的に、今はそこから至近にいるとは思えないほどひっそりしている。道は、将軍塚を目指している。比較的起伏の乏しい雑木林の中の道を20分ほど歩いていくと、東山山頂公園に出た。東山ドライブウェイからもアクセス可能な、というよりドライブウェイに付属して整備されたものと思われる展望地であるが、ここも今日の天候ゆえに、眺めはぱっとしない。本来なら、屈託なく山科の町を見下ろす展望地のはずである。

 さらにその先、大日堂の辺りは何やら工事中であった。隣接するはずの将軍塚も、近寄れるのか近寄れないのか良くわからない。東山コースを歩くハイカーに向け、工事への注意を喚起する看板の物々しさばかりが印象に残る。

 知恩院や青蓮院の裏山を通って粟田口へ下る。ハイカーもさることながら、不心得者が背後の山から不正に進入するのを警戒したものか、青蓮院側がコースとの境に有刺鉄線を設置しているようだ。厄介なのは、その辺りの道が、赤土がむき出しになったような、見るからに滑りやすそうな坂道になっていることだ。滑って転んで有刺鉄線に突っ込むと目も当てられないことになりそうである。おっかなびっくりと坂を下り、粟田口へ抜ける。

 その先が蹴上(けあげ)だ。京都の地名としては、比較的メジャーな方だろう。有名社寺としては、近くに南禅寺がある。今日の天気予報は「曇り時々晴れ 所により雷を伴う雨」という複雑怪奇なものだが、所によらない部分は曇り基調の晴れのはずが、思ったより不順である。道中、何度か雨がぱらついている。それが、ここに来てついに本降りの雨となった。

 何しろ京都である。名古屋からは、来ようと思えばいつでも来れる程度の距離感である。こんな冴えない天気の中、無理を押してこの先の比叡山まで15km弱の道を歩く必要があるのか。そんな考えが頭をもたげる。幸いと言うか、蹴上には地下鉄の駅がある。歩行距離自体も、全行程中のおよそ半分に相当する。中断ポイントとしてはちょうど良いのかもしれない。琵琶湖疏水を渡る直前でそんなことを考え、しばし思案した挙句、今日の京都一周トレイル旅は、ここで打ち切りとすることにした。時に11:36。総歩行時間は4時間に満たず、歩行距離も12〜13kmがせいぜいだ。ミスコースをしていなければ、大文字山の向こうまでは進んでいたのだろう。となると、比叡山に登るそれだけの道を次回に持ち越すことはしなかったに違いない。ちょっとしたボタンのかけ違いが、今日のこの結末につながったと言わざるを得ない。

 正直言って食い足りないところもあるが、続きは夏の京都旅行のメニューとして取っておこうと思う。後半戦のハイライトは、大文字山への登り標高差400mと、そうして稼いだ高度をほぼ全て手放した上で再度挑むケーブル比叡駅までの登り標高差600m。夏場には厳しい戦いとなるかもしれない。
皇族の陵墓。宮内庁の管理地。

こんな感じに住宅地の中を縫う道は、迷いやすい。

国道1号に出合い。この直後にコースを見失った。

清水寺の裏山へ。ようやく山道らしくなった。

東山山頂公園。

蹴上の粟田神社。

 
アクセス JR稲荷駅または京阪電鉄伏見稲荷駅より。中断地点までの交通は各項参照のこと。
ガイド本 京都一周トレイルコース公式ガイドマップ東山 京都一周トレイル会
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