猿投神社〜香嵐渓・その2
豊田市郊外のハイキングコース
■標高:200m
■歩行時間:7時間
■登山日:2014年2月22日




 道なりに緩い坂を下っていった先が勘八峡である。11:10の到着。名前から天然の峡谷をイメージしていたのだけれど、湖自体は人造湖なのだそうだ。ここでまたミスコースをし、少し遠回りをしてから勘八牧場へ。緩やかな山道を登り、今日のコースで最高所になると思われる勘八山をやり過ごした先に牧場の土地があったが、肝心の家畜がいない。たまたまなのだろうが、時期的に三河広瀬駅周辺の廃線と前後して閉鎖されたものらしい。ただ現地の看板は、「市営勘八牧場 この牧場は昭和44年に造成され30haの草地と40haの林間に肉牛の繁殖と乳牛の育成を目的として、約60頭の牝牛が放牧されています。 環境庁 愛知県」と、過ぎ去りし日の記憶を伝えている。今は、一部が畑になっている他は、広くなだらかな丘陵地が広がるだけの場所だ。昼には少し早いが、今日のコースは休憩に適した場所が意外と少ないため、ここで昼食。

 勘八牧場を後にし、再び山道を進む。いつしか道はまた舗装道となっていた。勘八峡から牧場までで結構な高度を登っていた感覚があったので全く唐突だったのだけれど、道はほぼ高度を下げることなく千鳥町の集落につながっていた。東海自然歩道は集落の端をなぞるようにしてすぐ山の方へと向かうのだけれど、その道沿いにそれなりに由緒のある古刹らしい千鳥寺がある。そして、この地点でまたしてもミスコース。結論的には、道標が大島バス停の方向を示していた通り、民家の庭先を通り抜けるような道を辿るのが正解だったようだが、いくらなんでも抵抗があったため、千鳥寺の奥、霊園の方へ続く道へと進んでしまった。結果として正解ルートが霊園への舗装道とクロスする形になっていたため、自然歩道に復帰できた。しかし、この場所は本当に道が分かりづらい。

 再び山道を歩き、ゴルフ場のコース脇をかすめて山中町へ。山道を下ったところにある山村集落だ。集落への出入り口にイノシシよけの柵があるあたり、人間の生活域と野生動物の生活域が近接、あるいは交わるような場所なのだろう。大分山奥に踏み入ってきたということなのかもしれない。もう一山越えると、香嵐渓のある旧足助町だ。再びイノシシゲートを抜ける。今日の山道は、どういうわけか倒竹木が多い。先日の大雪の影響だろうか。

 5分ほど山道を登ったところで、元山中峠に到着。自然歩道として近年に整備された物というより、古道と言われた方が説得力のある峠道だ。この峠道はなかなかに急である。その急転直下の傾斜を下りながら、大島バス停へ。おいでんバスのバスの中でも豊田市街と香嵐渓をつなぐ路線のバス停だ。いよいよ、香嵐渓を射程距離に捉えた。と言っても、まだ歩行距離にして5kmあまりがある。しかも、東海自然歩道はこの近辺で巴川左岸の峡隘路に入るため、一般道を歩くよりは進度が遅くなる。川面からの高さ、傾斜とも、断崖と言うに近いこの道は、長い登りこそないものの、細かいアップダウンが多く、蛇行もしている。そして、周囲は日当たりの良くない薄暗い林となっているため、歩いていて余り気持ちの良い道ではない。そういった事情も相まって、長く苦しい最後の一踏ん張りとなる。

 林間の道を抜けると、再び舗装道が始まりはしたが、少し進むうちに道路工事のため、今度は右岸へと迂回することに。こちらは普通の県道なので、そういう意味での愛想はないのだが、日差しがあり開放的なだけでもありがたい。各務原アルプスの時から引き続き、今日も本当に天気が良い。雲ひとつない青空なのだけれど、空の広さと高さを感じるような場面は少なかったかなと、今日のコースを振り返る。

 足助追分交差点に到着。国道153号との交差点である。塩の道と呼ばれた中馬街道あるいは飯田街道と、足助街道とも呼ばれる県道の交点であり分岐点である事から足助追分なのだろう。さすがに終わりが見えてきた中で、なじみのある国道沿いを歩こうかと言う気持ちもないではなかったが、最後にもう一度左岸に渡る。その昔は、ヘビセンターなんかもあったと言うこの区間を歩きぬいて、ビジターセンターにたどり着いた。時計は15時をわずかに過ぎていた。スタートから7時間、ほぼ歩き通しの1日だった。決して楽な道ではなく、道中でも到着予想時刻の上方修正・下方修正を何度か繰り返したものの、それでもこれだけの長距離を歩き抜いたことは自信につながる。

 来るべき香嵐渓〜寧比曽岳の歩行は、山から香嵐渓に下る行程を考えていたが、仮想燕山行として、香嵐渓から登ってみることにしてみようかと、そんなことも考えていた。こわばった足の筋肉を揉み解しながら、ビジターセンター前の看板で、寧比曽岳までの歩行距離が20km近いと表示されているのを見ると、それが容易ならざる思い付きであると言うことは分かる。まあ、結論を急ぐことはない。ひとまず宿題としておこうと思う。

 それにしても、ゴール後は「中馬のおひなさん」を見て行こうと目論んでいたのだけれど、さすがにその余裕はなかった。体力もそうだが、到着時間が当初の予定より1時間ほど遅れたのも影響している。一度のミスコースもなければ、あったのかもしれない。しかし、山でないこともあり、全般に単調なコースである。次はあるまい。

 足助からの戻りには、おいでんバスを使用した。足助追分から、広瀬、猿投と、今日のコースを逆回しのように辿り、浄水駅にたどり着く、40分ほどの路線である。所要時間を考えれば、文明の利器の偉大さを思わずにはいられない。
静かな水面の勘八峡。

勘八牧場に牛の姿はない。東海自然歩道の看板のみが在りし日の姿を伝える。

曹洞宗の古刹・千鳥寺。開基は後醍醐天皇の頃で、本堂は18世紀初めのものだという。

千鳥町からこっち、自動車の街・豊田の一部とは思えない里山と山村が続く。

元山中峠。足助までもう一息。

足助街道。東海自然歩道は巴川の対岸に渡ってなおも続く。

今日の旅の終点。香嵐渓ビジターセンターとも、東海自然歩道ビジターセンターとも。

 
アクセス 名鉄豊田市駅よりとよたおいでんバス「猿投神社前」下車。
ガイド本 ふれあいウォーク東海自然歩道 東海版 風媒社
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