各務原ルプス(金比羅山・明王山)・その1
名古屋近郊のミドルコース
■標高:383m(金比羅山)
■歩行時間:4時間30分
■登山日:2014年2月11日

    各務原アルプスは、各務原市とその周辺市町の境界を形成する山地だ。通称みたいなものだが、それにしてもアルプスとは、大きく出たものである。名古屋近郊の山界隈では、ぼちぼちその名が聞かれるようになっては来ているものの、まだ名前が先行している感は否めない。アルプスなので一座の山を指す呼称ではないけれど、高さはなく、ニュアンス的には豊橋自然歩道レベルのハイキングコースといったところだ。そして各務原市北部山岳の稜線を歩くことになるこのコース上には、さほどに著名な山は存在しない。一方で、風媒社刊「こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃[下]」の中には、この山地に含まれる個別の山名が掲載されこそすれ、各務原アルプスの名は見られない。



 週末は雨で、今日建国記念の日はすこぶるつきの快晴なのだと言う。昨年の大晦日に豊橋自然歩道を歩いて以来、今年はまだ山に行っていない。故あって過去の山行記録を整理していると、例年2月最初のこの時期は低山なりに山に登っている。天気が良いというのなら、眺望に恵まれる山に登ってみようか。すでにロックオンしている山はある。週中の休日、ダラダラと朝寝を続けたい欲求もかなり強かったが、普段どおりのオンタイマーによって電源がオンになったテレビの向こうでは、がんばりーながニコニコしている。自分も頑張ってみようかという気になった。

 ところによっては様々な枝道が存在し、定番となるコースがないので、そのルート設定は少し悩むところがあったものの、一応は桐谷坂から明王山を経てJR坂祝駅まで歩くことに落ち着いた。その順逆の決定については、公共交通機関への接続の容易さを優先した。桐谷坂は、各務原と関を結ぶ県道が通ってはいるものの、基本的には山行の際に頼みとなるようなバス路線は通っておらず、こちらをゴールにすると山行の後にまとまった距離の街歩きを余儀なくされる。一応、平日の通勤時間帯であればこの県道を通って各務原と関を行き来するバスもあるようだが、いずれにしても今日は祝日である。

 もちろん、逆もまた真なりで、桐谷坂をスタートにすると、最寄の駅から登山口まで、1時間あまりは普通の舗装道を歩かなければならない。地下鉄鶴舞線と名鉄を乗り継いで、名電各務原の駅に降り立ったのが9:40過ぎ。そこから県道17号を1時間あまりも歩いて、桐谷坂の登山口にたどり着いたのが11時直前。関市との境にあたる場所だ。身支度を済ませて歩き出したのは、ほぼ11時ちょうどのことだった。県道沿いの登山口には祠があり、木段というか木製の階段がかけられている。傍らには迫間不動の名を表示した道標も立てられているが、肝心の迫間不動は、軽く5kmは先に位置している。山中徒歩道の5kmは、かなり長い。

 先週末は、全国的に大雪が降った。その融け残りの雪の存在は当然想定してはいた。実際、登山道の端にはやはり雪がある。踏み跡となっている部分に雪はないが、かなりの急坂を登りつめ、最初の稜線上に出ると、登山道も圧雪に覆われていた。神経質になるほどではないものの、雪が吹きだまり、日の当たらない部分は、ずっとこんな調子なのかもしれない。尾根通しの道には、登り初めから10分程度で出た。

 すでに進行方向左手には御嶽山の白く巨大な山体が見える。その少し北側には乗鞍岳。11:30、標高303m、向山の真ん中に木が一本あるだけのピークで少し足を止めてみると、乗鞍のさらに北に、やはり雪をかぶった峰々が見える。まだ一団の山塊という程度にしか認識できないが、北アルプスの山なのだろうか。山名の同定は後の楽しみとしつつ、ひとまずは先を目指す。なお、反対側には濃尾平野の展望があるものの、雄大な山並みが相手となると、少々分が悪い。

 意外に急なアップダウンの多い稜線歩きである。このあたりの山は、高くはないが切り立っている。そして須衛の三角点ピークを通過した直後、恐れていた事態が発生した。激下りの坂道が、アイスバーン化している。ところどころはバーンが剥げている所もあるとは言え、場所によってはかなりの急斜度のところもツルツルのカチカチになっている。幸い、フィックスロープともコースロープともつかないロープの張られている箇所もあるので、これを頼りに、神経をすり減らしながら下っていく。

 ここで初めて、他の登山者とすれ違った。東の岩坂峠から西の向山・桐谷坂を目指す形の人たちである。凍った坂も、登りの方がまだしも楽であろう。東から西に歩く方が、冬のこの時期は登山道凍結の恐れが少ないのだろうか。そんなことを考えたが、通しで歩いてみた後だと、下り坂となる箇所がほとんど凍結していたのはこの場所だけだった。逆に、登り坂が凍っている箇所はしばしばあった。

 今日のコースは、展望所とか休憩所とかいったものが後半に集中している。動き始めがもともとの予定より1時間ほど遅いため、この何もない区間上で正午を迎えることになった。道中の鉄塔周辺は、立ち木が切り払われていてそこそこ眺めもよかったため、ここで昼食小休止。北アルプス方向を見ながらランチパックを食べる。そこから10分かからず、岩坂峠の鞍部に到着。12:17である。急坂を再び登り返し、20分あまりで反射板のある金山山頂へ。一応347.7mの高さはあるため、今日踏んでいくピークの中では高い方の一つということになる。

 随所のピークからの眺めは良いし、アップダウンも多いのだけれど、その割には単調な印象の道である。山道そのものの雰囲気の大きく変る箇所がないのが原因だろう。金山の少し先にも展望スポットはあるのだけれど、ここで、推定北アの山のさらに左手に、やけに存在感のある白い山の姿が見えた。これまでは木立に遮られることが多く、気づかずに来たのだが、こちら方面でこれだけ目立つ山というのはちょっと心当たりがない。伊吹山だろうか。

 各務野自然遺産の森との分岐をやり過ごすと、ガイド本にあるとおり、道の状態がかなり良くなった。ところどころでは石段・木段が設けられているし、アップダウンも抑え目になって、よりハイキングコースらしい雰囲気になってきた。この辺りは、ちょっと分岐点が連続する形になっており、道順がいささか複雑である。本来は追間山を経由して明王山に向かおうと考えていたのだけれど、どこかでガイド本のコースガイドを読み誤り、追間山に至る道ではなく、健脚の道に入り込んでしまった。十台近い車の止まる駐車場に出たところで誤りに気づいたが、今回究極の目標は明王山と位置づけていたので、そのまま健脚の道へ進むことに。
桐谷坂の登山口。県道からも見える祠が目印。

残雪がやや気がかりな、波乱含みのスタート。

須衛三角点ピーク。

向山見晴台より。登っている時は分からなかったが、これが能郷白山である。

眺めの良い鉄塔付近で休憩。

遠くの雪山。右手が御嶽、左手が乗鞍。

金山付近。反射板が目印。

 
アクセス JR坂祝駅より。または名鉄三柿野駅より岐阜バス「下須衛」下車(平日のみの運行)。
ガイド本 こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃[下] 風媒社刊
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