神石山
富士・浜名湖をも望む
■標高:324.7m
■歩行時間:6時間30分
■登山日:2013年12月31日

    石巻山は、豊橋市内からよく目立その山容から、豊橋市民の心の山と言えるのだろう。これに対し、豊橋近郊で良くハイキング対象になる山としてもう一つ、神石山と言うのがある。やはり弓張山地に属する山で、豊橋自然歩道を南に向かって歩いて行ったところにある。扁平なスカイラインを描く中の一ピークであるため、山麓からはほとんど印象がないものの、好展望の山として知られる。高度感はなく、豊橋市街方面を見晴るかすこともできないが、それとは逆の静岡県側に視界があり、浜名湖や、冬の天気の良い日なら富士山を望むことができるのだそうだ。



 ちょうど12時となったので、石巻山頂で簡単に食事を取り、来た道を引き返す。登り初めからここまで、2時間20分。赤岩寺から多米(ため)峠まで、車道を走って4km程度の道のようだから、所要時間としてはこんな物なのだろう。今回、コースについての詳細な資料がないのだが、ここからゴールまではおよそ3時間強コースとなる物と思われる。

 約50分をかけ、石巻尾根分岐に復帰。今回のコース、資料となるのは40年程度前に出版された豊橋自然歩道の整備記録そのもの程度しかなく、そこからコースタイムは拾えるのだけれど、さすが三昔ほど前の資料である。コースタイムに遊びがない。石巻登山口から石巻尾根分岐までは所要時間50分となっている。今回、考えていた以上に厳しい戦いになるかもしれない。

 さらに15分で、赤岩自然歩道への分岐まで折り返す。先ほどここを通過したのが11時直前だったから、2時間半ほどの寄り道だったことになる。ここからようやく未踏の道に入ることになるわけだ。

 道は、下り基調である。冬のわりに意外と緑の多いところを、多米峠の最低鞍部に向かって下っていく。峠越えの車道としては主要地方道大知波線が通る峠だが、トンネル化されている。私の幼児期には有料トンネルだったが、今はそれも償還され、完全フリーの峠道である。いずれにせよ、自然歩道よりは結構下のところを通っていると見え、車のエンジン音やロードノイズといったものもほとんど聞こえぬまま、13:37、266mの多米峠に到着。広い平坦地に擬木調のベンチやテーブルの置かれた、開放的な広場になっている。展望は無い。

 ここで静岡県湖西市側からのハイキングコースも合わせており、豊橋市とは別に静岡市名義で出されたプレートも付けられている。このあたりでメインとなるハイキングコースは、終局豊橋自然歩道なのだけれど、湖西市も手近なハイキングコースとして、このあたりの山道を売り出してはいるらしい、湖西連峰ハイキングコースと言う表記は見られるが、どの程度豊橋の名が出されているかは定かではない。

 この先、次のチェックポイントとなる地点は神石山である。そこまで行けば展望はあるようだが、道自体は単調であまり変化がない。と言ってそれは、平坦な道である事を意味するのではない。稜線歩きであるため、意外にアップダウンは多い。途中、大岩が転がっていたりはして、思ったよりごつごつした山であるとの印象は受ける。地質学的には、石巻の石灰岩などと同質の物なのだろうか。

 そんなところを30分あまり、14:08に神石山山頂へ。ここも平坦地で静岡方面への展望がよく利く。浜名湖も見えるが、意外と太平洋(遠州灘)の大海原を視認しにくい。日本上空に寒気が入りつつあるようだが、その程度に空気が霞んでいる、うららかな大晦日である。その一方で、風が出始めてきた。はるか頭上をびゅうびゅうと音を立てながら、冬の風が吹き抜けていく。雪山でなくとも、冬の山はもの寂しい。何となく不安を煽る響きであるが、木の多い山道であるため、直に風に吹かれることはまずない。

 神石山の頂を踏むと、経路上の目ぼしいポイントは全てクリアしたことになる。この先は、二川まで歩き抜くか、普門寺側に下るか、岩崎に下るか、そういったところが考えられるが、まあどちらかと言えば瑣末な話という気がしないでもない。どちらに降りてもさほど距離的に違いがないと思っていたら、山頂から少しのところにあった道標には「葦毛湿原 3.3km 二川 5km」とあった。葦毛湿原すなはち岩崎である。二川の方が少し遠いが、下山後ほぼダイレクトに東海道線に乗れると言うメリットがある。普門寺経由で下っていけば、新所原の駅には行き着ける。合わせ「石巻山 8km 多米峠 2.5km」とあった。どちらかと言えばこちらの方が嫌な情報である。これまでの歩行時間等を加味すると、残りの歩行距離がまだ、結構ありそうだと言うことが分かる。

 道中、舟形山城址を通過。登山道が堀切にかけられた土橋みたいになっている箇所があり、通過時に気にはなったのだが、少し進むとその辺り一帯が城跡であったことを示す看板が立てられていた。もっとも、城跡としては、さほど規模が大きいわけではない。あとは、曲輪の跡が削平されていた程度である。

 ある意味最大の正念場となったのがここから後だった。結局、交通機関利用にかかる手順の簡明さと、本線踏破を重視して、進路は二川方面にとったのだが、手持ち資料で最後のチェックポイントとなるNHK中継所から先が長い。本線コースは、弓張山地上の主だったピークをつなぎ合わせて形成されている。巻き道やトラバースは原則としてなく、妥協なき稜線歩き、どこまでも尾根道、延延繰り返されるアップダウンは、平均標高から思い描いていたイメージ以上に体力を削ってくる。特に、起伏の多さについては、むしろコース南端部の二川近くの方で顕著だ。

 その消耗度合いは、途中で何度かエスケープを考えるほどだった。この夏登ったアルプスの3000m級峰でもこれほどしんどくはなかったというほどである。累積高度差など、今回はまるで意識していなかったが、細かく上ったり下ったりを繰り返して、500m以上1000m未満といった感じにはなっているのかもしれない。水平歩行距離もかなり長い。

 豊橋自然歩道の道標はわりと多くに設置されているが、支線や自然発生的に付いた巻き道が輻輳しているような箇所では、そのガイドは十分とは言えない部分もある。また、コース上のチェックポイントへの里程・所要時間がほとんど表示されていないのも悩ましい。支線が多いのでエスケープルートは最低限確保されていると言いたいところだが、上記の理由によりコースの概念を把握するのが難しく、自分の体力体調と相談しながら、臨機応変にエスケープを採用することが難しい。何しろ、滅多な下山路に下っていくと、結果山を降りられたとしても、どこにたどり着くか分からない。とにかく市街地が近いので、遭難の危険性はまずないだろうが、下山後の脚を探すのに苦労することになりそうである。といったわけで、事前の十分なコースの研究が必須なのだが、今回その用意が不十分だった。今回、二万五千図も持参しなかったのは不覚だった。

 下山予定の15時を30分ほど過ぎて、松明峠に到着。眺めのよい広場となった場所で、ここからは二川の町を見下ろすことができ、実際近道として案内される一本道が存在している。神石山からの1時間は、先が見えないだけに長く感じたが、最後の力で坂を下り、16:20、どうにか二川駅に帰りつくことが出来た。
赤岩寺への分岐点。

多米峠。広い「交差点」だが、今となっては古くからの道だろう山麓への道の方が細い。

神石山の山頂。ピーク感はないものの眺めが良い。

東山(松明峠)。どちらかと言うと、二川からの散策路の延長にある展望所。

道標に二川駅の名も見えるようになった。ゴールは近い。

 
アクセス JR二川駅より。
ガイド本 新・こんなに楽しい愛知の130山 風媒社
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