白山・その2
日本三霊山の一角
■標高:2702.2m
■歩行時間:6時間
■登山日:2013年7月15日




 スタート直後、別当谷にかかるつり橋を渡る。かなり高度感のある橋で、下を見下ろすとちょっと怖いが、見た目よりは安定感のある橋だ。白山の写真というと、森林限界を超えた先の山頂付近のものが出てくることが一般的だが、登り始めは樹林の林床に鬱蒼と草が茂っているようなところだ。まあ、普通の山林である。ただ、烈日酷暑の名古屋に慣れてしまった上、日が登りきる前の時間帯ということもあって、さほど高度が高いわけでもないのに、涼やかに感じられる山道ではある。

 登山道にはまるで石垣のように石段が積み上げられた箇所もある。白山登山の源流が信仰登山にあるという理由もあるのも知れないが、植生や登山道そのものの保護が主目的のような気がする。白山登山道はこの先、頂上の白山比弯声勹宮までの間、9割ほどまで石段・石畳かウッドデッキの敷き詰められた区間が続く。夏山ならば、よほど霧が深くても、なかなかコースをロストしそうに無い。まるで要塞のような砂防堰堤を右手に見ながら、じっくり高度を稼いでいく。2004年には大規模な土石流が別当谷で発生し、前述したつり橋の先代にあたる物が流出するなど、大被害が出たのだという。

 5:51、中飯場に到着。名前から言って、古くは何らかの施設があったのかもしれないが、今はちょっとした広場程度の物だ。一応、人為的に加工されたと思しき石等が配置され、休憩も出来るようにはなっているが、登り初めからまだ20分である。大学のサークルらしき一団が屯していたこともあり、ここはさらっと通過する。次なるチェックポイントとなるのは甚之助避難小屋である。高度、所要時間ともにコースの中間地点となりそうなポイントだ。名前の通り、山小屋というより避難小屋として機能している場所のようだが、こういったものがあるあたり、白山が高山である事とメジャーな山である事を再認識させられる。

 まだ涼しい山道を歩き続ける。アップダウンがほとんどない道で、淡々と登りが続く。急坂はないが、登り続ける以上は歩きながら息をつける箇所が無い。なかなかペースを掴みにくく、疲れる山道ではある。道中で東の稜線から朝日が姿を現したこと、また別山が雄大なその姿を見せ始めたことを励みに先へと進む。途中、不自然に白い靄の立ち込める区間があった。少し進んでみるとコース上に残雪があり、そこから発生したものらしかった。それなりにまとまった量の雪だが、もともと多くの人が歩く道なだけあり、雪面上に道筋が付けられていて、特別な装備が無くても歩くことはできる。また、装具を付けるには距離が短い。それでもスリップに注意しながら、雪面を踏み越えていく。木曽駒ロープウェイのお姉さんも、今年は雪が多かったと言っていたが、全国的な傾向なのだろうか。

 6:42、甚之助避難小屋に到着。今回使っているガイドでは一日目の行程が頂上直下の室堂までで終わっているが、そこまでのちょうど半分に当たる場所である。ここまでの経過時間から言うと、8時前には室堂に付ける計算になるか。ここであらためて別山の姿を眺めながら小休止。小屋の中には人がいるようだったが、寝てるのか起きてるのかも良く分からない状態だったため、建物の中を覗くことなく、再び先を目指して出発した。

 意外になのか予想通りになのか、疲れる白山の登山道だけれど、ここまでがんばってきた甲斐もあり、どうやら高度は2000mに届こうかというところまできている。行程が長いため、要所要所に休憩所のようなものは設けられているが、それらは今のところ全て袖にしてきている。甚之助避難小屋から歩くこと10分余りで、ついに森林限界を超えたらしく、背の高い立ち木が姿を消した。雪解け水か、三連休の間に降り続いた雨水か、コース上には小さなせせらぎができている。この登山道を歩く限りではさほどにも思わないが、白山が滝の山であるという話が思い出される。

 さらに行くと、再び残雪が行く手に立ちはだかった。厄介なことに、夏道の上にトンネル状に融け残った雪だ。四つんばいになるか、子供ならトンネル内を抜けられそうだが、近づいてみると、先に行った人の踏み後が雪面上につけられている。雪渓というのは往々にしてそういうものらしいが、下があからさまに空洞になった雪面の上を歩いていて底が抜けることはあるまいか。おっかなびっくり歩いてみたが、どうにかそんなことも無く通過することができた。

 コースを歩いていると、ふいに耳慣れない重低音が聞こえてきた。この時間から雷鳴かといやな汗が流れたが、どうやらヘリの飛ぶ音らしい。振り返れば、別山を背景に東の方向にヘリが飛んでいくのが見えた。白山くらいの山になると、さすがにヘリで荷揚げをしていてもおかしくはないが、白山室堂のほうならともかく、あちら方面に山小屋の類はあるのだろうか。良く分からないし、ヘリで運ぶ荷にしては量が少ないような気がする。後の話になるが、下山時には強力さんと思しき人たちともすれ違ったので、いよいよあのヘリが何の荷物を運んでいたのか分からない。荷物の形状や飛び去った方向から見て、遭難者の遺体を運んでいたわけでもなさそうだが。
深く穿たれた別当谷は、土石流の猛威を伝える。

中飯場。休憩したくなるロケーションも、まだ先は長い。

高山帯のイメージが先行しがちだが、緑濃い登山道である。

7月半ばを過ぎてもコース上に雪が残っていたが、盛夏には消えるようだ。

甚之助避難小屋。標高1970mに位置し、ここを過ぎると森林限界突破は近い。

高木が姿を消した登山道。

甚之助小屋辺りからは別山が存在感を増してくる。

 
アクセス シーズン中、JR金沢駅から別当出合登山口まで北鉄バスによる直通バスが運行されるが、日帰りに利用するには時間的制約が大きい。マイカー利用の場合、繁忙期休日は別当出合までは入れないため、市ノ瀬でシャトルバスに乗り換え。
ガイド本 新・分県登山ガイド[改訂版]18 石川県の山 山と渓谷社
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