白山・その1
日本三霊山の一角
■標高:2702.2m
■歩行時間:6時間
■登山日:2013年7月15日

    石川・福井・富山・岐阜の4県にまたがって山域を構える白山の山名は、この地域で最も遅くまで雪を頂くその姿が、遠目にも白く目立つことに由来するのだという。最高峰となる御前峰山頂の標高は2702.2mで、アルプスの主峰級に比べるとかなり低いが、冬場に雪の多い北陸地方の気候もあいまって、山上に雪のある期間は長い。かの深田久弥翁は現在の加賀市出身で、加賀の霊峰として古くから知られたこの白山を、もちろん百名山の一座に加えているが、白山の章では、同じく「白い山」の意味を持つ外国の高峰として、モンブランやダウラギリを挙げている。そして加賀白山からさほど離れていない奥美濃にも、近隣では最後まで白く見える能郷白山と呼ばれる山がある。二つの山はともに岐阜県の西側を他県と分かつ山地の主峰級となっているため、これらが属する山地は両白山地と呼ばれる。



 白山という山名は、普遍性があるとも凡庸であるとも言えそうだが、能郷白山が現地の地名を冠していることから分かるとおり、日本で白山と言えば、第一義的に加賀の白山のことを意味する。白山と言う山名は枚挙に暇がないが、雪が融け残るほどの高峰ばかりではなく、里山にも多く見られる。そういった山は、加賀白山に源流を求められる白山信仰の末社を祭る山である事が多いと思われる。以前に取り上げた尾張三山の白山が、まさにそのパターンだ。

 白山に登るとなると、当然石川県内あたりで前泊する必要がある。仕事終わりで金沢に向かうのは厳しい物があるため、初日と言うか登山前日は、移動日兼石川県観光日の形となった。県内の観光と白山麓にある白山比弯声劼悗了卸悗鮑僂泙擦晋紊蓮⊇匹箸覆襯襦璽肇ぅ鷆眤駅前へ。翌日の出発は午前3時という夜中とも未明ともつかない中途半端な時間帯の予定だったのだけれど、3時でチェックアウトさせて欲しいとロビーでお願いしたところ、いやな顔一つせず受けてくれた。東横インあたりだと大却下されそうである。

 さて、ホテルの人にそんなわがままを聞いてもらいはしたものの、早起きするためとは言え、そうそう早いうちに眠れるものでもない。ましてこのホテルは、JRの線路と至近の距離にあるため、13階という高層階をあてがってもらったにもかかわらず、結構列車の音が耳につく。無論、深夜帯になれば列車の本数も減るため、普通の人が眠るのにさほどの支障も無いのだろうが、8時9時だと貨物列車も含め、バンバン列車が行きかっているのが気になる。その結果…。

 夜半に目を覚ますと、部屋の時計は3:20を示していた。南無三、寝過ごしたか。えれぇこった、えれぇこった。アラームは3時にセットしたと思ったのだが、操作を誤ったか。急いで身支度を済ませ、ホテルを出たのが3:30。未明の金沢市街を走り抜け、白山の登山口となる市ノ瀬を目指す。繁忙期の白山には、夥しい数の登山者が殺到するため、一般車は白山の駐車場までしか進入することが出来ず、そこから先の直接の登山口のとなる別当出合まではシャトルバスで移動することになる。そして、このシャトルバスの始発便に乗るつもりでの、3時発予定だった。30分遅発の影響は思ったよりは小さく済んだが、結局市ノ瀬に着いたのは5時少々過ぎの事で、始発シャトルバスには乗り遅れたものと思われる。ただ嬉しい誤算と言おうか、マイカー通行規制は、今夏ではまずカレンダーどおりの3連休について実施されただけのようで、普通の火曜日である今日は、特に規制も行われていなさそうだった。となれば、市ノ瀬で車を乗り捨てる必要も無いため、別当出合まで自車で進むことに。

 一つ懸念があったのは、別当出合へのアプローチとなる県道白山公園線が険道の範疇に属するため復員が狭く、特に市ノ瀬から先においてそれが顕著になるらしいということだったが、早朝の時間帯だったので、どうにか大過なく別当出合まで進むことが出来た。ただし、幅員自体は1車線幅程度しかない区間が長く、コンパクトカー同士や軽同士のすれ違いも容易ではなさそうだ。対向車との離合は退避場所を使わざるを得ない。退避場所は比較的多く設けられているが、狭隘路運転に慣れてない人には厳しい道である。もっとも、山に行く人には山間部の酷険道の運転に慣れている人も珍しくはないと思うが。なお、別当出合にも駐車場が存在し、夏場の休日には一般車が使うことはできないものの、そこそこのキャパがある。かつての御嶽山王滝口より少ない程度の収容台数か。さらに市ノ瀬については、何箇所かに分散してはいるが、別当出合に数倍する車が停められそうだ。

 寝坊というまさかのアクシデントに肝を冷やしたが、5:29、別当出合登山口からクライムオン、クライムアウト。白山は、一筋縄で行く相手ではない。これまで的にしてきた山の中でも有数の、手ごわい山だ。今回、山と渓谷社刊「関西周辺の山」及び同社の分県ガイド石川版が1泊2日の行程としている内容を換骨奪胎し、日帰りで歩き抜く計画とはしているが、5時から歩き始めて14時には戻ってくるつもりでいる。つまり、9時間の行程である。標準コースタイムそのものの数字ではあるが、1泊による疲労リセットを望めない私には似つかわしい数字だろう。

 なお、この所要時間9時間という制約があるため、金沢駅から別当出合まで直通の北鉄バスの使用を見送ることになった次第である。始発バスが5時に金沢駅を出て7時に別当出合に着くことになっているのだが、帰りの最終便が17時別当出合発となっている。標準タイムの9時間という数字は、食事はもちろん休憩時間を全く考慮していない数字である。不測の事態への備えも望むには、路線バスで日帰りは心もとなかった。

 今回、登りには砂防新道を、下りには観光新道を使う予定である。信仰の山として歴史も古い白山だが、両者とも比較的近年になって開かれた物らしく、特に砂防新道は、登山口から山頂までの距離が最短となるためよく利用される道だ。ハイシーズンの登山者が多い白山では、暗黙の不文律として、登りに砂防新道を、下りに観光新道を使う慣習もあるようだが、絶対ではない。なお、観光新道は尾根通しの道で展望に恵まれる反面、樹林がまばらであるため、荒天時の使用には向かない。特に雷撃への弱さは致命的で、過去にはこの道沿いで落雷事故により命を落とした登山者もいるので、臨機応変にコース取りするべきところだろう。
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県道白山公園線。バスと行き会わなければ離合は可能だが…。

別当出合登山口。

砂防堰堤のある別当谷。

 
アクセス シーズン中、JR金沢駅から別当出合登山口まで北鉄バスによる直通バスが運行されるが、日帰りに利用するには時間的制約が大きい。マイカー利用の場合、繁忙期休日は別当出合までは入れないため、市ノ瀬でシャトルバスに乗り換え。
ガイド本 新・分県登山ガイド[改訂版]18 石川県の山 山と渓谷社
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