南木曽岳・その1
巨大樹の森に分け入る
■標高:1679m
■歩行時間:5時間30分
■登山日:2012年5月26日

    南木曽岳(なぎそだけ)は、その名の通り長野県南木曽町に位置している。近在のよく知られた地名として、西麓には中仙道妻籠宿がある。ただ、標高は1679mにもなるため、ちょっと「妻籠の裏山」とかいった雰囲気ではない。のみならず、比高差がかなりあるため、妻籠辺りからだといまいち全容が掴みにくいのもある。一座の山としては、山頂付近の笹野原と、御嶽山や中央アルプス方面への好展望によって特徴付けられる。木曽の谷筋に面した山ではありながら、主稜線から外れるためか、一般的に中央アルプス(木曽山脈)中の一座として扱われることは少ない。ただ、中アとの間を深い谷で隔てられているわけでもなさそうだ。



 登山道は、JR中央線南木曽駅東方にある上の原からのルートと、ほぼ南麓にあたる蘭(あららぎ)キャンプ場からのルートがあるが、歩行時間の長くなる上の原ルートが健脚・上級者向けルート、短行程ですむ蘭ルートが初・中級者向けルートとされている。毎度おなじみ山と渓谷社の分県ガイド長野版では、蘭側から登って上の原に下るルートが紹介されているが、同社が刊行している別のガイド本「名古屋周辺の山」には、上の原から登って上の原に下るコースが掲載されている。今回は、今シーズン中の決行を目論んでいる恵那山登山の予行演習としての意味合いが強いため、「名古屋周辺の山」を種本として、分県ガイドを参考書として、ある程度の体力を要求される上の原側から登り、蘭に下る山行に挑んだ。

 名古屋からの移動を考えた場合、中央線も、中津川までなら運行本数が多いが、その先、落合川、坂下、田立、そして南木曽へと進もうとすると、途端に列車本数が少なくなる。南木曽駅は特急停車駅であるため、特急を使うと言う手もあるが、快速あるいは普通列車で行こうとすると、どうしても中津川で乗り換えなければならない。青春18きっぱーの友である神領発松本行きを使えばその限りではないが、いつぞや私がしたように、未明の街を自転車で神領まで移動するような真似は、登山に絡む列車行ではしたくないので、大人しく普通列車利用で最も早く南木曽駅に着けるパターンを模索。結果、6:21に千種駅から中央線に乗り、7:34に中津川駅着、4分の乗り継ぎを経て7:57に南木曽駅に着く旅程で行くことになった。三河の山奥に行くことを思えば楽な日程ではあるが、やっぱり朝が早く、眠い。それでも、恵那市から中津川市へと進み、当面の目標である恵那山のボリューム感ある山体が視界に飛び込んできた時には、少し目も覚めた気がする。

 そうして南木曽駅に着いたのだが、今回の山行は駅に降り立ってから登山口までが少々長い。2km程度歩くことになるのもさることながら、標高差にしても100mほどを登ることになるらしい。そのためかどうか知らないが、「名古屋周辺の山」は、南木曽駅を全行程のスタートに持ってきている。本稿もそれに倣うとして、ちょうど午前8時に南木曽駅を歩き出したところを、登山のスタートとする。ここから登山口まで、南木曽小の脇を通り、等覚寺の前を通って行けば良いはずだったのだが、南木曽小をやり過ごす道に出るのに手間取った。たまたま、私と同じ列車で降りたらしい高齢の単独ハイカーがいたのだけれど、彼も私も揃って「ミスコース」をし、大して土地勘もない者同士、ああだこうだと言いながら、正規ルートを探すハメに。途中、有害鳥獣駆除の任に就いている「忠犬」に吠え掛かられたりしながら、ほどなく見覚えのある道に出ることはできたものの、10分強程度のタイムロスになった。時間はともかく、傾斜地の多い南木曽の町である。行きつ戻りつすることは、そのまま坂道を登ったり下ったりすることを意味するため、その分の消耗は少々恨めしい。

 8時半に、上の原登山口の駐車場に到着。しばらくは舗装の道が続いていそうだったこともあり、初見の印象では、そこそこ整った登山道が引かれている印象を抱いていたのだが、道案内に従って歩いて行くと、舗装道の終わりでぼうぼうとした草むらの中へ通じる細い踏み跡に誘導されてしまった。踏み跡は、民家の庭先、畑のあぜのようなところを延びて行き、間もなく植林の森の中へと入っていた。もっとも、逆に森の中へ入ったことで、道は登山道らしさを取り戻したのだけれど。

 楽な道ではないという前評判があった通り、なるほど、決して緩くない登りが延々と続く道である。平坦地というのが極めて少ない。変化にも乏しく、ただ黙々と上を目指す。一応目印になる物として、ガイドには第二鉄塔と言うのが記されていて、ここにたどり着くまで林床の道に入ってから10分あまりを要した。そして件のガイドによれば、この辺りで植林の途切れた明るい尾根道に出るとある。確かに、一瞬はそういう状況になったのだが、遮る物なく日光が降り注ぐため、雑草や潅木が良く伸びている。踏み跡が薄くなっているような書き方がされているのに、どうもそういう雰囲気ではない。そして、少し明るいくらいが良いと思っていれば、再び道は林間の暗いところへ入っていくではないか。どうも、ガイド本に書かれていることと、登山道の現状に隔たりがある。本の内容が古いのか。

 それにしても、他の登山者と全く出会わない登山道だ。風景も、ひたすら植林が続き、単調だ。スギかヒノキかわからないが、木曽の森らしいと言えば、まったくそれらしい。ガイドを見ていると、次なるチェックポイントとなるのは三角石、それを過ぎれば巨大樹の森入口と言うことだが、三角石の方は見落としてしまった。
不安を覚える登山口。

森の中に入れば、普通の山道である。

南木曽の町が小さく見えるものの、基本的には展望の道ではない。

巨大樹の森へ進む。

中央アルプスの稜線がわずかに覗く。

 
アクセス JR南木曽駅より。
ガイド本 [改定新版]名古屋周辺の山 山と渓谷社
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