三ツ瀬明神山(乳岩峡より)・その1
三ツ瀬明神のロングコース
■標高:1016m
■歩行時間:6時間30分
■登山日:2012年4月7日

    愛知県の山でしんどい思いをしたこと。意外に何度かある。宇連山、八嶽山、日本ヶ塚山、岩古谷山から鞍掛山への縦走といったところがそうだ。コースそのものの難度のためではなく、気候条件によるところが大きいのだろうなと言うものもあるが、しんどさレベルは、この中では甲乙付けがたい。そして、乳岩(ちいわ)峡から三ツ瀬明神山に登るコースも、その行程の長さにおいては負けていない。他にいくつかある三ツ瀬明神への登山ルートと区別するため、乳岩ルートなどと呼ばれているものだが、これが山自体の格と相まって、健脚向けのルートとして、よくガイド本に載っている。以前の明神行の下りに採用したことのあるコースだが、これの往復に挑むことにした。



 巨岩の景勝地として、天然記念物の指定も受けている乳岩峡も、さほどの深山幽谷にあるわけではない。鉄道駅で言うと、JR飯田線の三河川合駅が最寄り駅となる。駅から渓谷地帯の取り付きまで、距離は多少あるものの、歩けないほどではない。今回は、青春18きっぷの残りがあるため、中央線千種駅を5時台の始発で発ち、東海道線普通に乗り換えて豊橋まで移動し、そこから飯田線に揺られて、8:32に三河川合駅に立つというスケジュールを組んだが、名鉄の特急及び豊川線を活用すると、もう少し朝にゆとりを持てる。

 何もない無人駅、三河川合駅で列車を降り、そこからゆるゆる歩いて30分ほどで乳岩峡だ。前回からさほど様子も変わっていないような気がする。様々なガイドで「売店」と紹介されている渓谷入口の施設は、今回もまた稼動していなかった。自販機はあるのだが、本当に売店として機能することがあるのか?謎である。

 9:10、今日の山行をスタート。

 歩き始めは、川沿いの道だ。水の流れの涸れた、天然の岩盤を歩くコースだと思っていたのだが、資料によっては、どうもいくらかは人手が入っていそうな記述も見られる。いずれにせよ、見た目ほど滑りやすい道ではなく、ほぼ平坦であるため、歩き易い。

 ほどなく、土の道が始まる。これもさほど急傾斜ではなく、階段をはじめ、随所がかなり人工的に整備されているため、相変わらず歩き易い。乳岩そのものへ通じる道と、明神山頂への道は、10分あまり歩いたところで分岐しており、往路はまずまっすぐに明神山頂を目指すことにする。

 登山口から山頂までの水平距離が長いため、健脚向きとされる乳岩ルートだが、しばしば尾根道でにおいて私を悩ませるような、スパルタンな急傾斜やアップダウンはほとんどなく、さらにほぼ最短距離で三ツ瀬登山道との合流を目指すコースであるため、必要以上の体力のロスというのはほとんどない。そういう意味では優しい道と言える。

 多少登りが厳しくなってくるのは、クライマーに人気の巨岩・鬼岩の辺りからだ。前回は下りにここを通りかかったため全く気がつかなかったのだが、登りでここにさしかかったら、目の前に異様な急坂が飛び込んできたため、思わずそちらに進んでしまった。居合わせたクライマーたちに、そちらが間違いであると教えてもらい、正規ルートに復帰したものの、実を言えば進路上に彼らのグループがいたため、正規登山道側が行き止まりに見えたと言うのはあった。前回はほぼ無人の鬼岩前に、今回はそれほど人が集まっていた。

 ここまで、登山口からおよそ40分の道のりである。ほどほどに体が温まってきたところで、乳岩ルート最大の難所へ差し掛かる。

 鬼岩をやり過ごして、5分ほどで鬼岩乗越へ。その名の通り、鬼岩上部に位置するポイントだと思うのだが、両者のはっきりした位置関係が分からない。ただ、どうやら明神の支尾根の先端に当たるのは間違いなさそうで、ここから先の道は、これまでとは少々趣が変わってくる。5分ほど歩くと「是より胸突八丁」と書かれた看板が立っている。なるほど、その名に違わぬ直登がその先に続いている。

 この胸突八丁、時によじ登るような急斜面も姿を現すが、ひたすら登り続ける道かと言えばそうでもなくて、要所要所で小さな下りもある。いかにも尾根道だ。こんな調子の道が20分近く続いたところで、「胸突八丁ノ頭」と書かれた標柱が目に付いた。乳岩ルート単独で見た場合の、字義通りの山場となるであろう胸突八丁だが、さほど苦戦もせずに乗り切ることができた気がする。胸突八丁ノ頭の頭から5分ほどで、三ツ瀬登山道との合流点に到着。時計を見ると、10時半少し前だった。
三河川合駅。近隣では規模が大きい方だが、やっぱり無人駅である。

渓流沿いの道を歩き出す。

鬼岩。サイズやその他もろもろの関係で、写真には収めづらい。

胸突八丁の始まり。

 
アクセス JR三河川合駅より。
ガイド本 新・こんなに楽しい愛知の130山 風媒社
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