宇連山・その2
愛知県民の森から人気の岩稜歩きへ
■標高:929.4m
■歩行時間:5時間
■登山日:2009年12月30日




 さて、東尾根・北尾根への登山口は、川の流れに沿ってほぼ平たんな道を小一時間も歩き続けた先の、県民の森の中でもかなり奥まったところにあるのだけれど、南尾根登山口は入口付近の駐車場やモリトピア愛知がある区画の山側に見えるテントスペースの、奥に設けられている。つまり県民の森に入ってすぐのところにあるわけだ。大ざっぱには、最初で一気に高度を稼いだ後は、比較的緩やかな稜線上の道を行くのが南尾根コースで、行程の中盤から終盤でまとめてかなりの高度差を詰めるのが北・東コースや滝見コースということになる。高さを稼ぐのが、山登りにかける意気も軒昂な時期になるか、ある程度体が温まってからになるか、そういう違いがあると考えることもできる。先行逃げ切り型か、追いこみ型か、コースのセレクトに関しては自分の脚質や気質も考慮に入れると良いだろう。もっとも、南尾根コースには、行程がやや合理性に欠けるという弱点もある。詳しくは後述。

 南尾根コースの登り始めは、壁のように聳える山肌を、蛇行しながら登っていく区間となっている。直登ではないのだが、息つく間もなく登りが続くので、決して楽な道のりとは言えない。そんな登りが10分ほど続いたところで、明るい尾根筋に到達。尾根道なので、ここまでの斜面に比べれば傾斜も緩くなる。岩の露出した稜線ながら、整備が良く行き届いていて、危険も少なく非常に歩きやすい。目指す宇連の頂はまだまだ遠く見えるが、いったん尾根筋に出てしまえば、後はそれほど厳しい登りもないだろう。

 当初はそう考えたのだが、しかし見通しが甘かった。

 この尾根道が、上下左右にうねりながら続いていく。左右に蛇行するだけならともかく、登りっぱなしではなく頻繁にアップダウンを繰り返すのだ。全体としては登り基調ながら、下るときはガクンと下る。息を切らしながら稼いだ高度を、その直後に失う場面も多く、必要以上に体力の消耗を強いられるコースであることは否めない。とは言え、稜線上に現れた野趣あふれる岩の道を行く行程には、ダイナミックな面白味がある。山麓の集落、鳳来寺山のような近くの山に、三ツ瀬明神のようにちょっと遠くの山など、眺めも良い。自分の歩速に合わせてではあるので劇的な変化はないが、そうした眺望が刻々と移り変わっていく。山歩きそのものの楽しみも味わえるコースであるとは言えよう。

 途中の展望台などで休憩しながら、1時間近くも稜線上を歩いて行くと、国体尾根分岐に到着。知らず知らずのうちに西尾根と呼ばれるエリアに入っていたようだが、ここまでの山行、道中にマイルストーンとなるものが少なく、俄かハイカーには、今自分が全行程のどのあたりにいるのかを把握しづらいのが難点である。分岐にあるのは、三ツ瀬明神にあったのと同じような、新しめの木製の道標で、次なる分岐点となる滝沢分岐(宇連山山頂方面)までは75分とある。分岐まで75分なのだろうか。山頂まで75分なのだろうか。ここまでの道のりに少々倦み始めていたので、そんな考えが頭をよぎる。まあ、分岐まで75分ということなのだろう。何にせよ、長丁場だ。

 そこから30分。南尾根に比べるといささか面白味に欠ける道を歩いていると、今度は先ほどのに比べると古めかしい道標が出現した。それによれば、ここから宇連山までは1.5km・60分の道のりのようだ。着実に進んでいると言うべきか、思ったより進度を稼げていないというべきか。この道標に対する不信感もぬぐいきれない。一応、宇連山頂らしき峰はかなり近づいているので、その事実に励まされながら先へと進むと、10分ほどで宇連山1.0kmの表示。まさかまだ50分ほども道が続くとも思えず、果たして30分後の11:10には宇連山頂に立つことができた。登山道終盤の距離・所要時間表示は少々ファジーであるが、どうやら新しい標識の方が信じるに足るものらしい。それにしても、登り始めが8:40のことだったから、2時間半の道のりだったわけだ。過去最も手ごわい登山となったのが伊吹山(標高差1100m)の所要時間1時間50分だったが、今回はそれを上回る登山だったことになる。当然、伊吹の方が高低差は大きいのだが、あちらは非常に効率的に登り続けられるという違いもある。なお、前述した奥三河名山八選のモデルコースの中では、宇連山コースは、レベルにおいては明神山に一歩譲るが、歩行時間・歩行距離とも八山中最高を誇っている。
宇連山と言えば、岩稜歩きが人気のようだ。ただし、楽なコースではない。

山しかなさそうなエリアにも思えるが、人里も見える。

コース上には休憩所もある。

荒々しい印象のコースも、危険な箇所は少ない。

 
アクセス JR三河槙原駅より。
ガイド本 新・こんなに楽しい愛知の130山 風媒社
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