宇連山・その1
愛知県民の森から人気の岩稜歩きへ
■標高:929.4m
■歩行時間:5時間
■登山日:2009年12月30日

    宇連(うれ)山は、新城市内にそびえる標高929.4mの山だ。俗に奥三河と呼ばれる地域の最南部に位置している。都市部からは少し距離があるものの、近場の山から見ると、わりとなだらかながら大きく裾を広げるような山容が印象に残る。奥三河名山八選の一つにも選ばれており、愛知県内の山好きにならばその名を知られてもいるだろうが、一般にも知られる鳳来寺山や、奥三河の主峰と言われる三ツ瀬明神山に比べると、知名度の点からは大きく水をあけられている感はある。強いて言うなら、東三河地方の水がめ・鳳来湖をせき止めているのが同名の宇連ダムなので、東海地方の人間には多少のなじみがある地名なのかもしれない。が、同名の山の認知度となると怪しい。



 そんな微妙な知名度の宇連山だが、このエリアの山の中ではかなりの存在感を放っているのも事実である。何と言うか、ロケーションが良い。鳳来寺山をはじめとする、近在の山から稜線伝いに移動できる場所にある。そのため、登山道が何パターンも存在している。大まかに言えば、愛知県民の森から登るルートと、搦め手である棚山高原から東海自然歩道を経由して登るルートの二つとなる。果たして棚山高原側を搦め手と言えるかどうかは意見の分かれるところだろうが、県民の森側には別所街道という古い街道が通っている(現在は国道151号線やJR飯田線にその経路が引き継がれている)ため、一応こちらを表玄関としておく。そして今回は、県民の森側からアタックをかける。なお、今回の種本となる「新・こんなに楽しい愛知の130山」は、やはり県民の森側からの登山をコーディネイトしているが、その前身となる「こんなに楽しい愛知の100山」時代は、棚山高原側からのルートが紹介されていた。

 奥三河は、同じ愛知県とは言えども名古屋からの公共交通機関アクセスに難を残す地域である。鉄道としては飯田線が走ってはいるものの、本長篠より飯田側の区間は、日中極端に列車本数が制限されるため、各種登山ガイドでも、名古屋からの鉄道利用の場合は、豊橋までを朝早い新幹線か名鉄の特急で移動し、そこから飯田線に乗り換えることが推奨されるのが常である。今回も、豊橋駅7:01発の飯田線中部天竜行に乗り込み、まずは県民の森の最寄り駅である三河槇原駅を目指す。時間にすれば1時間ほどの列車旅だ。

 飯田線の駅としてはごくありふれているのだが、三河槇原駅は無人の小さな駅である。ホームも一つしかなければ、駅舎も併設のトイレの方が大きいほどの、小屋程度のものでしかない。この駅を特徴づけるものがあるとすれば、少し西方向にある巨大な岩だろうか。とりあえずの目的地となる県民の森は、この巨岩とは反対方向にある。いきなり「熊出没に注意」の看板を見つけて不安な心持になるが、ひとまずこの時期はクマも休眠中のはずである。駅から県民の森の入口までは、徒歩で10分強の距離だ。

 尾張地方の人の事情は分からないのだが、こと東三河地方においては、小学校高学年ともなると県民の森での野外実習を実施する学校が多い。平たく言えばキャンプである。公営なので、最近の至れり尽くせりな豪華キャンプ場のようなことはないが、オリエンテーリングや森林浴向けの散策路は、県民の森を取り囲む山中に、縦横に伸びていると言って良い。つまるところ、県民の森側からの宇連山への登山道は、そうした散策路を経由するコースということになる。複数ある登山口のいずれを選んでも、最終的には宇連山頂南東付近で合流することになるが、5〜6本もあるコースを大きく分けると、南西と北東の二系統に分類でき、南尾根と西尾根のコース、東尾根と北尾根のコースはそれぞれ、比較的早い段階で合流することになる。この他、亀石の滝と言った滝を見られる、滝見のルートもある。これらルートについては、県民の森入口付近に、地図とともにコースの特徴を示したものが設置されており、それによって大体の傾向をつかむことができる。今回の私の場合、出撃前からおおよそあたりはつけていたのだが、「鳳来寺山・宇連山等が一望できるスリルに富んだ尾根コース」とされている南尾根コースに挑むことにした(南尾根の延長線上に位置する西尾根コースも、実質これに含まれている)。ちなみに、東尾根コースは「鳳来湖・上臈岩等も望める変化に富んだ尾根コース」、俗に国体尾根コースなどとも呼ばれている宇連山往復コースは「『わかしゃち国体』でも利用された本格的登山コース」なのだそうだ。予備知識がないと宇連山往復コースでなければ宇連の山頂までは到達できなさそうな気もしてしまうが、そういうものでもない。
三河槙原駅。

キャンプ場を突っ切って南尾根の登山道に至る。

 
アクセス JR三河槙原駅より。
ガイド本 新・こんなに楽しい愛知の130山 風媒社
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