チャシは城か?
ヲンネモトチャシ
所在地
別名
北海道根室市温根元
:なし
築城者
築城年
:不明
:不明


お城スコープ > お城総覧 > ヲンネモトチャシ

■謎の史跡・チャシ

 「お城スコープ」では、基本的に戦国〜近世のお城を対象にとりあげています。一部古代城郭も所収していますが、何かしらの軍事機能を備えた歴史的遺物であるという点では共通しています。そこにチャシ跡を加えるのは、ある意味で異端児を加えるようなものなのかもしれません。たぶん、日本100名城の中に根室チャシ跡群が含まれていなければ、対象とすることはなかったでしょう。同じ100名城の中では、環濠集落の類でさえ除外しています。
 チャシが何のための施設だったのかについては、議論の余地があると言われているものの、一般にはアイヌの城砦の類であると認識されていることが多いようです。和人とアイヌが深く関わり出した頃、不幸にもそれが戦闘状態だったことも珍しくなく、そうした時にアイヌがしばしばチャシに立てこもったことから、チャシは、和人により城や砦の類と見なされるようになりました。つまるところ、それが現在まで尾を引いているようです。チャシと言う言葉には、本来「柵で囲われた場所」と言う程度の意味しかないのだそうで、実はその果たした役割は多様なものだったのではないかとも言われています。
 日本の城郭の正統進化の中に位置づけられる遺構ではありませんが、将来的に琉球のグスク跡もターゲットに含めようという目論見もあるので、バランスを取るため、本項でチャシのことにも触れておこうかと思います。

■北の原野…

 温根元は、オホーツク海に面した集落です。これが属する根室市自体は、道内の町村などと比べればそれなりに規模が大きいと言えるのかもしれませんが、根室半島の突端に近いこの場所は、小さな漁村の雰囲気を漂わせています。ヲンネモトチャシ跡があるのは、その集落の西の外れ、海岸段丘状の高台の上部です。温根元チャシハイドなどと言う野鳥観察小屋も設置されているような場所で、一見しただけでは原野と区別がつかないような、自然の気配が色濃い場所でもあります。資料や現地の解説によれば、堀切や盛り土の跡が存在しているのだそうです。純粋の自然地形ではなさそうなことまでは分かりましたが、本土の城郭建築とはそもそもの建築技法や設計思想(?)を異にするため、どこまでがチャシの名残なのか、見当がつけられませんでした。
 いちおう写真も撮ってはみましたが、単なる草っぱらみたいでパッとしません。根室市の観光協会が公開している写真は、空撮だったり漁港側から撮ったものだったりするので、写真としてはこのアングルの方が映えるのでしょう。
 なお、ヲンネモトチャシは国指定史跡ともなっていますが、史跡登録名からもわかるとおり、根室半島のチャシ跡は、群で指定を受けています。実際、周辺には相当数のチャシ跡が現存すると言われていますが、一般観光の延長で立ち寄れるところと言うと、ここヲンネモトチャシか、少し西側にあるノッカマフチャシくらいに限られます。一応ノッカマフチャシ跡にも立ち寄ってみましたが、鬱蒼とした茂みを越えた海側に遺構があるらしく、ヲンネモトチャシと比べてずいぶん敷居が高い感じはありました。根室半島は、ごく日常的にヒグマが出没するエリアで、普通の観光地とは言い難いその木立の中に踏み入って行こうという気にはなれませんでした。

(2016年10月04日 初掲)















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